

松原の複合住宅
大地の起伏、水平な床、勾配屋根の狭間に暮らす
住宅地に建つ二世帯住宅と仕事場の複合体の計画。敷地は西側に向けて緩やかに下る坂道沿いにある。道路は近くの小学校のスクールゾーンに指定されており、登下校時には子供たちの元気な声が響いて賑やかである。計画地は南北に長く、北側で接道しているため、例えば南側に庭、道路側に家というように、道路に対して背を向けるような建ち方になりがちなのだが、ここでは適度なプライバシーを保ちつつ、道路に対して開かれた住宅を目指すことにした。もともと計画地は道路より1mほど高い位置にひな壇状に造成された区画であったが、まずは道路沿いの擁壁を撤去し、道と連続する緩やかな斜面地をつくった。そこに水平の床を、平面的には市松状に雁行配置し、断面的には5つのレベルに置き、勾配屋根で覆って室内化した。屋根は南側を将来的な太陽光発電を見据えた勾配とし、北側は庭や道路へ空の光を届けるように2階床レベルまで急勾配に降ろした。大地の起伏、水平な床、勾配屋根によって室内外には多様な「場」が生まれた。そこに更に収納や本棚や建具やベンチなどの二次要素を置くことでスケールダウンさせ「居場所」を設えていった。これらの居場所は、家族の変化に伴い、随時つくり替えていくことになるだろう。
竣工 | 2022年 |
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主要用途 | 二世帯住宅・事務所 |
構造設計 | 鈴木啓/ASA |
ランドスケープアドバイス | 大野暁彦/SfG landscape architects Inc. |
構造規模 | 木造・地上2階 |
敷地面積 | 226.78m2 |
建築面積 | 106.52m2 |
延床面積 | 197.89m2 |
受賞 | グッドデザイン賞2023 |